「自分の価値」を見つけることは難しく、また数値で自分の価値を測っても一概にあなたの価値はこれくらいです、とは言えません。
例えばお給料が自分の価値を測れていない良い例です。
大学生のあなたが時給1,000円で働いていたとします。あなたの価値はそれだけですか?
自分の価値は1時間1,000円、1日にして24,000円分の価値しかないようなものですか?
自分の価値はそんなものでしょうか?
こんなこと急に言われてもよくわからないよ…と感じる人も多いかもしれませんが、少なくとも皆さんにはもっと価値があります!
「自信を持て!」「もっと自分を高く評価しろ!」
なんてことは言いません。ただ、思っている以上にあなたには価値がある。そう感じてほしいのです。
自分の価値を決めるのは自分自身

「自分の価値は自分が決めるなんて、そんなことわかってるよ!」と思っているかもしれませんが、意外と難しいものです。
自分で自分の価値を決めることについてこれからお話していきます。
「自分の価値」と「他者からの評価」
確かに仲のいい友人や尊敬している先輩、上司から「君って〇〇なところあるよね。だからよくないんだよ、まだまだだね。」などと言われてしまうと、「本当にそうなのかもしれない。自分はまだまだなんだ。」と悲観的に感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、それはあくまで周囲があなたを評価したに過ぎないのです。もしかしたら、部分的にみて、ある領域に関してのトップレベルとあなたを相対評価しているだけかもしれません。
周りの他者からの評価をフィードバックやアドバイス、発奮材料として受け止めることは大事でしょう。ですが、それらがあなたの価値を定めているわけではありません。
自分の価値を自分自身で決めてみる
自分の価値は簡単に測ることができるようで、非常に難しいものです。ですから、何かネガティブなことを言われたとしても「この人に私の何がわかるんだろう」くらいに思ってスルーしてしまいましょう。
あくまで自分の価値は自分自身で探し求め、自分の中で決めることが大事です。
自分の価値を低く評価していませんか?

「私なんて全然~」という発言や「自分の価値が全然わからない」と思う気持ちを持つ人はとても多いです。自分の価値を信じられないからと言って、悲観的になることはありません。
なぜ多くの人がこんなにも自分の価値をネガティブに感じてしまうのか、理由を解説します。
自己嫌悪に陥るメカニズム

上記のような関係性で自己嫌悪は生まれていくと研究されています(小平(2002)の研究より)。
人間には誰しもが理想像、憧れの姿があるといわれています。その姿は、wantから起因するありたい像(イメージ:こんな人になりたい!)という場合もあれば、shouldから起因するあるべき像(イメージ:こんな人であるべきだ)という場合もあります。
これらの違いは、これまで育ってきた環境に大きく依存するといわれています。
多様な経験や自分で考える機会が多いとありたい姿やwantが強くなる一方で、親からの熱心な教育や進路への制限がかけられてきた人は周囲の期待に応えるためや正解を追い求める傾向にあります。
これらは、どちらが良いなどはありません。誰もがどちらにもなりうるのです。
ここで伝えたかったことは、誰しもが理想像、憧れの姿を持つということです。なぜなら、その姿と今の自分を比較し乖離(ギャップ)に苦しむことで自己嫌悪を感じてしまうのが人間だからです。
日本人の傾向

上記の表から、日本人の傾向を読み取ってみましょう。
こちらは、平成27年に国立青少年教育振興機構が実施したアンケートの抜粋になります(参考リンク)。
”自分の希望はいつか叶うと思う”、”私は人並みの能力があると思う”の項目について、日本は他国と比較してかなり低い数値がつく結果になりました。また、”自分はダメな人間だと思うことがある”という項目ではダントツの1位を記録しています。
つまり、日本人は圧倒的に未来に対して悲観的で自分の価値に対して低評価をしているのです。ですので、自分の価値を低く見積もる、悲観的になるのは個人の問題ではなく国民性の問題ですので、そんなに気にしなくても問題ないのです。
ここでのポイント
自己嫌悪や自己肯定感が下がってしまうのはある意味「仕方のないこと」なのです。
ですから、今の自分が嫌いでつらい、しんどいなどと落ち込みそうになる時は、「まあ、くよくよしても仕方ないな。誰もが悩むことだし気にしてたらキリがないや!」くらいの軽い気持ちで受け流してしまいましょう。
自分の価値を下げないことが大切な理由
自分が感じたように感じたいことや、本当に自分はまだまだダメダメだとまだ思っている人もいるかもしれません。ですが、そんな風に自分で自分の価値を下げることは本当にもったいないことです。
なぜ自分の価値を信じ高めることが望まれるのか、自分の価値の感じ方からどんな影響があるのかについて解説していきます。
- アドラー心理学
- ピグマリオン効果とゴーレム効果
- ポジティブとネガティブのそれぞれが相手に与える心証
アドラー心理学
アドラー心理学では目的論と言って、人間の行動は未来の目的に応じて今の行動を起こすといわれています。あの民族運動家で有名なガンジーも「人間は、その人の思考の産物に過ぎない。人は思っている通りになる」と述べています。
つまり、未来を悲観的にとらえすぎたり夢はかなわないなどと思ったりすると、自身の今の行動も成功にはつながらないような行動や周りに制の影響を与えられないような行動しか起こせないといわれています。
ピグマリオン効果とゴーレム効果
ピグマリオン効果とは、他者が自身に対して期待をかけたり、「できる!」と後押しをしてくれることにより、本来の能力以上の力が出たり、実際に成功する確率が上がったりする心理学の考え方です。
他方、ゴーレム効果はピグマリオン効果と逆の考え方になっており、周囲からできない、ダメだなどとと否定されると、本来の能力を発揮できなかったり、成功する確率が下がったりする考え方です。
これらは双方とも、他者が自身に与える期待値によって自身のパフォーマンスに変化を生むことを示しています。
ポジティブとネガティブのそれぞれが相手に与える心証
具体例を2つ紹介します。
日ごろからネガティブなAさんはいつも、「私なんか…」「どうせ私は…」と口にしています。
すると周りが持つ印象は「この人はそのくらいな人なんだな」「あんまり自信ないんだな」あるいは何も考えずに「そんなことないよ~」などと、いい印象を持たなかったり一緒に頑張ろうというような印象を持たないでしょう。
ポジティブなBさんは、日ごろから「失敗からこれを学んだぞ!」「次はもっといけるぞ!」と口にしています。
きっと周囲は「前向きな人だな」「じゃあ私も一緒に頑張ろう」などと良い印象をもってかかわってくれることでしょう。
もし周りに両方のタイプの人がいるとしたら、積極的にどちらと関わっていきたいと思えますか?
あなたと関わっている人が「自分なんか…」と言って自分の価値を低くしている人と、「次はできる!」なんて言って前向きな人とのどちらかと聞かれたら、迷うことはないでしょう。
つまり、あなたの感情や行動の一つ一つが関わる人たちや、環境に影響を及ぼすのです。周りの影響によってあなたにもいい影響が返ってくることで、自分の価値が高まるような感覚を得ることができるでしょう。
自分を大切にしていく

前項では自分の価値を高いと感じる、少なくとも低いと感じないようにすることの意味をお伝えしました。
次は、少しでも自分の価値を高く感じられるようになるおすすめの行動習慣をお伝えします。
- 利他的に振舞ってみる
- 周囲の人とのコミュニケーションを大切にする
- 他者との比較をやめる
利他的に振舞ってみる

利他的に振舞うということは、それだけ誰かにとって有益な行いをするということです。
そうすることで誰かからの感謝を得たり、自己の存在を自分で認めていくようにしていきましょう。
例えば、「誰もがしたがらないような仕事をしてみる」「部活動の中のつらい役割」「バイト先のちょっとした雑用」などがいい例でしょう。
その仕事一つするだけで、周囲から「ありがとう」という言葉をもらい感謝される感覚を得ることができます。
また、誰もしたがらないような仕事をすることで、周囲は感謝するだけではなく、あなたがいないと物事が進まなくなってしまうかもしれません。
周囲の人とのコミュニケーションを大切にする

信頼されていれば、ちょっとしたミスや少しの失敗でもとがめらることはあまりないでしょう。
日ごろからあなたの努力を知っている人がいれば、失敗しても慰めてくれたりリベンジの応援をしたりしてくれるでしょう。
周りの人たちとどれだけ良好な関係を気づけるのかは、自分の価値を高める・維持しておくという意味でも有効です。
他者との比較をやめる
自分の価値を認知するためにも他者との比較はやめましょう。
周りを見れば自分よりできる人はたくさんいますし、隣の芝生は青く見えるとは言ったように、事実以上に周囲の人は良く見えることが多いです。
不必要に比較を繰り返したり、そこから自分のことを否定したりすることに意味はないのです。あくまで向き合う相手は過去の自分や、今の自分といった自分自身です。
自分の価値を信じずに低いと思い込むことは、自分に悪影響を及ぼすことが多いです。今からでも遅くないので、「自分の価値は思ってるより低くないな」と考え方に切り替えてみましょう。



