
会社に入って定年まで勤めれば誰でも退職金がもらえる、と思っている人が結構います。
退職金は、会社にその定めがあってはじめて支払い義務が発生するものですから、その定めのない会社の従業員は、必ず退職金をもらえるわけではありません。
退職金がもらえる前提として、会社に退職金を支払う規定(退職金規定など)があり、決められた要件(たとえば勤続3年以上など)に該当した人が退職してはじめて支払われるものです。
実際に中小零細企業では、退職金規程のない会社もあって、退職金を最初からあきらめている人も多いわけです。しかし、退職金がなくてどうやって老後を暮らしていけばいいと言うのでしょうか。
退職金のあり・なしは、生涯年収にも大きな影響を与えます。大企業でそれなりのポジションについていれば、1500万~2000万円の退職金はもらえるはずです。
しかし、退職金制度がない会社では、あなたの生涯年収が大幅に下がることになってしまうのです。また、退職金の有無は、老後の生活の基盤をも左右します。退職金がない場合、年金だけで生活するしかなく老後貧乏に陥ってしまう可能性さえあるのです。
退職金のあるなしは、人生に影響する問題と考えましょう。ですから、転職するなら退職金制度がある会社に就職することが絶対的な戦略になります。
この記事では、退職金制度のある企業に転職するために知っておきたい知識をまとめました。

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退職金は、必ずもらえるとは限らない

退職金というのは、会社に入って定年まで勤め上げれば必ずもらえるというわけではありません。退職金制度がない会社も多く存在しています。
退職金制度なしでも、法律に違反しているわけではありません。そもそも法律として定められてはいないのです。つまり、退職金制度の導入は、会社の義務ではないということです。
退職金制度のない会社の割合は?

それでは、退職金制度がない会社の割合は、全国でどのくらいあるのでしょうか?
厚生労働省の就労条件総合調査によると、4社に1社の割合で退職金制度がないという調査結果が出ています。
- 退職金制度がある・・・75.5%
- 退職金制度がない・・・24.5%
この調査結果は、従業員数30人以上を対象にした調査結果ですから、従業員数30人以下の零細企業では、割合はもっと高くなるはずです。
また、企業規模別での割合は、
- 1000人以上:退職金制度有あり93.3%、退職金制度なし6.7%
- 300~999人:退職金制度有あり89.4%、退職金制度なし10.6%
- 100~299人:退職金制度有あり82.2%、退職金制度なし7.8%
- 30~99人:退職金制度有あり72.0%、退職金制度なし28.0%
となり、大企業ほど退職金が出る割合が高く、企業の規模が小さいほど退職金制度がない会社が多くなっています。この調査結果から、年収だけでなく、退職金においても大企業の方が優遇されており、福利厚生が整っているということが分かります。
また、業界によっても退職金制度のある・なしの割合が変わってきます。退職金制度がある業界の上位は、
- 電気・ガス・熱供給・水道業・・・96.3%
- 建設業・・・91.5%
- 鉱業・採石業・砂利採取業・・・91.0%
- 金融業・保険業・・・89.2%
- 製造業・・・86.6%
となっています。下位はというと、
- 医療・福祉・・・50.1%
- 宿泊業・飲食サービス業・・・52.6%
- 生活関連サービス業・娯楽業・・・53.0%
- 運輸業・郵便業・・・60.0%
- サービス業・・・62.0%
となります。この調査結果から、電気・ガス・水道などのインフラ業界では退職金制度が整っている会社が多いということが分かります。

退職金がない会社、老後の生活は大丈夫?

多くの人の退職金の使い道は、貯金です。年金だけでは生活費が足りない人達もたくさんおり、退職金を貯金して生活費に回す人が大半なのです。
現在では、60歳で定年を迎えたとしても、年金をもらえる年齢は65歳です。その間は無収入となってしまうため、退職金で補うという人もいます。
さらに悪いことに、今後年金の支給対象年齢は上がっていくことが決まっています。あなたが老後を迎えたとき、年金支給の年齢は70歳になっているかもしれません。
その時に、退職金がなかったとしたら…。想像するだけで不安になってしまうでしょう。総務省統計局による調査によれば、定年後の生活で必要な生活費は、毎月268,907円という調査結果が出ています。定年後から年金受給までの5年間で、1,613万円かかるという計算になります。
それだけの金額を、貯金だけで賄うのは大変なことです。退職金制度が整っている会社に入社することは、老後の不安を解消するための必須条件と言えます。
現在、退職金が出ない会社で働いている人も、退職金制度がある会社への転職を検討することをおすすめします。
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いざという時のためにも退職金はあったほうがいい

いざという時のためにも、退職金制度のある会社を選んだ方がいいのです。退職金のある・なしで、後々大きな差が生まれてくるからです。
いざという時とはどんな時なのかというと、例えば、うつ病などの病気になってしまいやむを得ず退職をする場合です。その場合は、定年まで待たずに退職することになりますが、ほとんどの企業は、3年や5年など一定の期間以上働けば退職金が支給されるという形をとっています。
やむを得ず一時的に働くことができなくなった時に、退職金が手元にあるのとないのとでは経済的な負担がまるで変わってきます。
これは私の友人の話ですが、親の介護のために、どうしても会社を辞めざるを得なくなり40歳になる前に早期退職しました。大手メーカー勤務の主任としてバリバリ働く毎日でしたが、親の介護が必要になり辞めることを決断したのです。
親の介護のために1年半は、働くことができない状態でしたが、退職金として受け取った700万円ものお金があったため、問題なく介護生活を送れたそうです。
介護生活も終わり、その後親を介護施設へ入居させることになりました。そこでも数百万単位のお金がかかったのですが、すべて退職金で支払うことができました。
今は親の介護からも開放され、再就職を果たしています。もちろんしっかりと退職金のある上場企業へ転職しました。
これは一つの例に過ぎませんが、私の友人のようにいざという時がいつ訪れるかは誰にも分かりません。しかし、退職金制度が整っている企業であれば、このような突然の大きな出費にも問題なく対応できるのです。
また、病気やケガ、うつ病などで働くことが一時的に困難になってしまった場合でも、経済的な基盤があれば、また次の一歩を踏み出すことができます。退職金制度のある企業に勤めるメリットが、お分かりになりましたか?
求人票を見るときは、退職金制度のあり・なしを必ず確認する

ハローワークの求人はおすすめできない
転職の際は求人票をしっかり見て、退職金制度のあり・なしを必ず確認しましょう。4社に1社は退職金制度がありません。中小零細企業に至っては、その割合はもっと多くなるでしょう。
創業から古く歴史のある会社や、大企業のグループ会社などでは充実した退職金制度が整ってることが多いです。求人を探す際は、退職金制度の有無をチェックすることを忘れないようにしてください。
なお、ハローワークで転職の求人を探すのは、基本的におすすめしません。ハローワークは公的機関なので良い求人があるかというと、そういうわけではありません。
率直に言って、ブラック企業率が高いです。ハローワークの中にも優良な求人はあるかもしれませんが、その見極めは素人には困難です。
ハローワークは無料で求人を掲載していますから、応募コストをかけたくない企業が求人を多く出しています。応募コストをかけたくないということは、儲かっておらず給与を支払いたくないということとイコールに近いわけですから、ブラック企業の求人もかなり紛れ込んでいるというわけです。

転職エージェントを活用する
ブラック企業を避けて、労働条件が良い会社に転職したいなら、転職エージェントを利用してください。転職エージェントはいわば転職のプロです。
転職エージェントは企業の内部事情に詳しく、また求人を出している企業の審査を行って企業の雰囲気、平均年収、残業時間、離職率などの細かいデータをすべて把握しています。転職エージェントを活用することで退職金制度のしっかりある企業への転職を実現できます。
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